まず、2人暮らしの固定費を4年分に換算する
毎月の家賃は「払って当たり前」になっていて、総額を意識する機会がありません。4年分に換算すると次のようになります。
| 住居費 | 1か月 | 1年間 | 4年間 |
|---|---|---|---|
| 家賃 | 10万円 | 120万円 | 480万円 |
| 水道光熱費 | 2万円 | 24万円 | 96万円 |
| 合計 | 12万円 | 144万円 | 576万円 |
都市部で家賃が15万円なら、4年間の住居費は816万円です。これは、開業費用の中央値(600万円・日本政策金融公庫「2025年度新規開業実態調査」)を上回ります。多くの人は、店を1軒開ける額を4年間の家賃として払っています。
「収入を増やす」より「固定費を消す」方が早い理由
年収を100万円増やしても、手元に残るのは税金と社会保険料を引いた70万〜80万円程度です。一方、家賃を12万円減らすと、年間144万円がそのまま残ります。固定費の削減には税金がかからないため、同じ額なら固定費を減らす方が貯蓄への効き方が大きくなります。
ただし、普通の転職で家賃を0円にすることはできません。それができるのは、住居が仕事に含まれている働き方だけです。
試算:住居費0円の働き方で、4年間にいくら残るか
当サイトで紹介しているペア支配人の条件で試算します。前提は次のとおりです。
- 委託報酬:初年度1,150万円、2〜4年目は各1,200万円(いずれも2人合計・税抜。業績報奨金は含めない)
- 住居:ホテル内の1LDKに住み込み。家賃・水道光熱費0円
- 税金・社会保険料:業務委託のため、所得税・住民税・国民健康保険・国民年金を自分で納める。ここでは報酬の25%と仮定
- 生活費:食費・通信費・日用品・交際費・移動費などとして2人で月20万円と仮定
| 初年度 | 2〜4年目(各年) | 4年間の合計 | |
|---|---|---|---|
| 委託報酬(2人合計) | 1,150万円 | 1,200万円 | 4,750万円 |
| 税金・社会保険料(25%と仮定) | ▲288万円 | ▲300万円 | ▲1,188万円 |
| 生活費(月20万円と仮定) | ▲240万円 | ▲240万円 | ▲960万円 |
| 住居費 | 0円 | 0円 | 0円 |
| 手元に残る額 | 622万円 | 660万円 | 2,602万円 |
この前提では、4年間で約2,600万円が手元に残る計算になります。運営会社が公開している事例でも「4年で2,000万円以上の貯蓄」が紹介されており、桁としては整合します。
比較:共働きで家賃を払い続けた場合
同じ4年間を、2人が会社員として働き、家賃12万円(光熱費込み)を払い続けた場合と比べます。世帯年収は2人合計で700万円と仮定します。
| 共働き(世帯700万円) | ペア支配人(上記前提) | |
|---|---|---|
| 年収・報酬(2人合計) | 700万円 | 1,150万〜1,200万円 |
| 税金・社会保険料 | ▲140万円(20%と仮定) | ▲288万〜300万円(25%と仮定) |
| 住居費(年間) | ▲144万円 | 0円 |
| 生活費(年間) | ▲240万円 | ▲240万円 |
| 年間で残る額 | 約176万円 | 約622万〜660万円 |
| 4年間で残る額 | 約704万円 | 約2,602万円 |
差は約1,900万円です。この差の大部分は、報酬の差そのものより「住居費576万円がゼロになること」と「2人分の収入が世帯としてまとまること」から生まれています。
この試算で見落としてはいけない4点
- 税金・社会保険料は人によって違う:業務委託の場合、確定申告が必要です。25%は仮の数字で、控除や経費計上によって上下します。税理士や税務署への確認をおすすめします
- 「生活費ゼロ」ではない:食費・通信費・日用品・移動費・交際費はかかります。上の試算では月20万円としましたが、生活スタイルによって変わります
- 業績報奨金は含めていない:2年目以降の報奨金は業績次第のため、試算からは外しています。含めれば上振れ、含めなくても上の額です
- 契約は1年更新:4年間の数字は「4年間更新が続いた場合」です。1年ごとに双方が更新を判断します
4年後に「独立資金がある状態」から選べること
4年で2,000万円台の貯蓄があると、選択肢が変わります。開業費用の中央値は600万円なので、自己資金だけで店を開くことも、借入を少額に抑えることもできます。2度目のホテル運営を続ける人もいますし、貯めた資金で別の道に進む人もいます。「貯金を増やすこと」自体が目的でなくても、4年後に選べる幅が広がることに価値があります。